夜の病院


毎日毎日飽きもせず・・・介護は続くよ、どこまでも〜ぉ♪ ダ。
今の病院に転院してから、そろそろ一ヶ月が経つ。


それまでお世話になっていた病院や施設では、駐車料金がかからなかった。
しかし、ここの病院は私立なので、流石にガッチリしている。
駐車場代が30分で100円!!!! 
ウチは日参組なので、それがひと月分ともなると最低でも3000円はかかる。


簡単に、「月に3000円位〜」なんて言うなかれ!
コインパーキングは、ゲートインしてからアウトまでの時間だから
駐車場から病室までの往復の時間を差し引くと、面会時間は正味15分足らずだ。


15分でケアの何が出来る!? ゲゲゲ・・・は終わっちゃったけど
病室で朝の連ドラをアハハ!と観ているだけで、100円だよ、100円!
普通の 「面会」ならそれでも十分だろうが、ウチの殿は要求が多すぎて
とてもとてもそんなんじゃ足りやしない。


コッチもたまには仕事がある。用事だって山の様に次々と湧いてくる。
一日中動き回りへとへとになっても、「あ、時間だ。病院に行かなくちゃ〜」
と思う、その気持ちが更にくたびれを倍増させるのよね。。。


あんまり焦っていろいろやっても、ケアレスミスをしたり
余計な仕事を増やしたりして、更に疲れに加速度を増し加えるだけなので
運転は安全第一、身体も健康第一!と自分に命じて
多少の犠牲には泣く泣く自腹を切ることにした。


父は24時間寝たきりなので、どうしても家族の顔をみると複雑な気分になり
あれこれと言ってみたくなるのだろう。
そして、少しでも長く一緒にいて欲しいのだと思う。


でも、駐車場は30分100円・・・!なのだ。


とにもかくにも、毎日山の様に汚れものを出してくれるので、せっせと持ち帰り
洗濯をして乾かして持ってこないと、パジャマもタオルもタオルケットも
あっという間に替えがなくなる。


ここ数日なんて、父が騒いだこともあるのだろうけれど
気温がずどん!と下がっているのに、下半身は紙おむつしかはいていなかった。
風邪引いて肺炎になったら、高齢者は命取りだよー!


しかも、時には手をベッドに拘束されたり、胃ろうの管が首に絡まり
「へその緒じゃないんだからサ…」と介護職員に一発注意を促したくなるけれど
騒ぐから縛る→縛るから余計に騒ぐ→そしたら、もっと縛られる…と
な〜にがいいんだか悪いんだか、よくわからなくなって感覚がマヒしてくる。


汚れた洗濯物をくるくるっとまとめて、持ち帰りの手荷物袋に入れ
使用したカップやストローを洗ったり、ティシュやおしり拭きの在庫を調べたり
病院からの連絡メモに目を通しているだけで、あっという間に時間は過ぎてしまう。
とてもとても30分なんて無理な話だ。


病院側では勿論、時間を見ながら定期的に身体の向きを変えてくれているが
それだけでは身体の痛みが緩和されないのか、殿は大声で叫ぶ叫ぶ。
「腰ぃ〜(が痛いので、さすって欲しいナ)!!!!!」
「背中ぁ〜(も痛いんだけどナ)!!!!!!」
「喉ぉ〜(が渇いたんだけど、お水飲みたいナ)!!!!」

   注:( )内の文字は、心中お察し下さいという父の心の叫びで
     実際には「 」内の冒頭の単語しか口には出しません。


…全くもう! であるが本人にしてみりゃ、文字通り 「死活問題」なのだろう。
結局毎日1時間コースとなり、200円ずつ、戻らないデッカイ貯金箱の中に
お金を入れてくることになる。
ガソリン使って気力も体力も神経もつかいながら、日々200円の出費。
月額6千円の余計な出費って、結構家計にとっては大きいわよ〜。


どうしたもんだかね。。。


徒歩で病院まで行くとなると、駅から1時間くらい歩けば着くかな。
でも、洗濯物が大量過ぎて手持ちじゃ無理。
病院の洗濯機と乾燥機も30分でそれぞれ100円ずつかかる。
タオルケットなんて30分じゃ乾きゃしないし、どっちみち 「お金」だ。


介護の世界も、金・かね・カネ!なんだね。


私だって自分の貧血の治療もきちんとしたいけど
時間もお金の余裕もありゃしない。
少しゆっくり休んで…と言われても、交代要員がいないのだから
どうにもこうにもだ。


結局サ、病気をしたり誰か人の手を借りないと生活できなくなったら
生命が保障されなくなる世の中が来るのかな…と思ってしまう。
そりゃ、お金があればそれでサービスを買うことも出来るだろうけれど
働けなければ、収入だってなくなる。


無理を通して道理を引っ込めても、「では、お引き取り下さい」って
病院から出されるのが関の山だ。


そうした現状の中で、介護ウツや先の不安を抱えて
希望なく生きている人たちって、実際は山の様に潜んでいるのではなかろうか。
そして、人々からの励ましがかえって負担になっているんだろうなとも思う。


抜け出せない現状に縛られ、経済のことに頭を抱え、相談する先もなく
自分が立っているだけでも精一杯・・・とうつむきたくなるのかも。


ワカル、わかる。。。
そして、これからの世の中には、そういう人がもっともっと増えてくるはずだ。


今月分の入院費の請求書が届いた。
病院の方針には絶対に従わねばならないが、内訳に記されていた
おむつ交換の欄を見てビックリ!
計算してみたら、交換1回につき約500円ほどかかっている!


殿〜!気軽におしっこもウンチも、するなかれ!
出来ればお犬様の散歩の如く、小も大も同時に1回でお済ませ下され〜
と言いたくなる。


とにかく、なんでも金・かね・カネであるぞよ〜〜〜〜〜。
年金を全額、殿が介護に使われては、女官も侍従も暮らせませぬ。


あ〜〜〜〜ホントに暮らしにくい、嫌な世の中になったもんだ。
今夜もそっと病室の窓から、向かい側の病棟を眺めたら
全ての個室に灯りがともっていた。。。


みんな、どんな思いで生きているんだろう。
降り出して来た雨に濡れて帰ってきたら、ちょっと喉が痛くなった。