小さなろうそく

第二次世界大戦を経験してきた父や母にとっては
あらかじめ予告されている 「停電」など、「ヘ」でもないらしい。



夏の夜の激しい雷雨の時など、落雷による停電が起こっても
実に冷静なものだった。
じっと待っていれば、じきに電気は復旧する。



しかし、現代社会の中に生まれ育った私にとっては
その単なる暗闇にストレスを感じ、携帯に突然入ってくる緊急地震速報
耳障りなサイレン音に大きな恐怖を感じるようになってきた。



戦争を知らない子供たち」世代の我々にとっては
一瞬でいのちが奪われる危機感…というものは、自分たちとは無関係なもの
という意識が、いつもどこかにあったのだと思う。



夕方、ニュースを観ようかな…と思ってTVをつけたら
いきなりこんな画面が写って、更にビックリした。



「首都圏震災ニュース」・・・。
ふうむ。。。



とうとうここまで来たか…、と今夜は何だかそんなことを思ってしまった。
私は被災地とは少し離れた地域に住んではいるが
数日前、近くの大型施設に福島からの避難者の方々がバスを連ねてやってきた。
町ごと、丸ごと避難してきたらしい。



番組をじーっと観ていたら、胸の痛くなるようなニュースばかりが続き
特に、誰もが今一番、気にしているであろう福島原発放射線濃度のことが
次々と報道の波にのって届けられてくる。



地震そのものも未曾有の大きさだったけれど、余震も少なくなってきたし
日に日に復興に向けて作業が続いている。
しかし、放射能がらみのこととなると無関心ではいられない。



この先、農作物にもどの程度影響が出るのか、飲み水は大丈夫なのか・・・
一種の緊張感を強いられて日常生活を送らねばならないということも
ま、何か大きな意味があることなんだろうな。



昨日21日は3連休の最終日。
母の古い友人が、亡くなった父のお参りに来てくれた。



いただいた包みをそっと開いてみたら、小さな小さなろうそくが入っていた。
ホレ! こ〜〜〜〜〜んなにちっちゃいの♪ なんだか可愛らしいね。


燃焼時間は 「5分」とある。
今の時期、ちょうど計画停電も行われているので
イザ!という時には、どっぷり闇に支配されないように
「5分ろうそく」をリレー式に並べて、灯りを保っていたいな…と思う。



いいモノをいただいたワ〜〜〜!と、ちょっと嬉しかった。
・・・折角なので、早速ひとつ火をつけてみた。



うん! 結構、明るいよ。
計画停電は大体3時間だから、36本目が燃え尽きた頃、電気が復旧するのね。
4月末までこの計画停電は継続しそうだけれど、そろそろ私も慣れて行かねば…ね。



いただいた沢山の花たちを飾る母。



次から次へと、あまりにもいろいろなことが押し寄せてくるので
「悲しんでいる暇なんて、ありゃしない・・・」って言ってるけど
私もホントにそう思う。



・・・ふと見やれば、夫はリビングで居眠りしてた〜。



みんなそれぞれ疲れが溜まって来たのかもね。
今週もひとりひとりの健康が、しっかりと守られますように。



薄暗い闇の中に光っていた、小さなろうそくの灯りを思いつつ
やっぱり本物の光は素晴らしい…としみじみ感じた。