はじめの1〜歩!

延び延びになっていた母の手の手術がやっとこサ
昨日の午後、無事に終了〜。



慣れぬ上に長期にわたった父の介護生活の中で
母は利き手を使いすぎたのだろう。



いわゆる 「弾発指(ばね指)」と呼ばれるものらしく
数度にわたり外来で注射を打ったり、こまめにマッサージもしてきたが
どうもそういうレベルの状態ではなかったらしい。



昨年11月には 「もう外来では無理。外科的処置をとった方が良い」と
医師に言われ、すぐにでも…といった感じだったが
父の状態があまりにも悪く、全てがその日暮らしで
自分たちのことは丸ごと後回しの生活だった。



年が明けて、そろそろ・・・と思っていたら2月に父が亡くなり
葬儀が終わって、どれどれ・・・と思っていたら計画停電の影響で
病院側から期日未定の手術延期の連絡が入る始末。



「一体、いつならいいんでしょか?」って業を煮やして電話をしたら
4月6日の午後、と言われたらしい。



そして昨日の朝、9時前に病院から電話があり
また何か・・・?と思ったら、手術開始の時間を30分遅らせて欲しい、とのこと。
「えぇ、それは構いませんが、でも今日、必ずやってくれるんでしょうねっ?」と
聞き返す母の声には、かなりの凄味があった。



術前の検査を簡単に済ませ、母は着替えて手術室へ。。。



私は手術室横にある長椅子に座って
じ〜〜〜〜〜〜〜っとひとりで待つことになった。



「ホレ、これしっかり持ってなさいヨ!」と預けられた母の愛用のリュックが
やたらに重くて、一体、何を入れているんだ???と思ったけれど
この前の震災があった時、夫の用意周到!なるリュックの中身に
母はエラク感動して 「お母さんも真似しよ」ってあれこれ詰めていたっけなぁ。



節電のため…と長椅子の置いてある廊下の電気は最低限度まで消されてしまい
持参した本を読もうにも明るさがイマイチだった。
それなりに病院スタッフの往来もあり、いちいち気にしていたら疲れてしまうので
母のリュックを膝にのせ、抱き枕代わりにしながら携帯を眺めていたら・・・
居眠りしてしまったみたい。。。



手術室の方から、カッシャ〜〜〜〜〜ン!と何か小さな金属類を
落としてばら撒いた様な音が響いてきて目が覚めた。
時計を見たら、ちょうどあれから1時間。
ドアが開いたのでふと見ると、母の主治医が白衣に着替えて出てきた。



あ、終わったな・・・と思ったら
すぐに母が 「はぁ〜〜い、お待たせぇ〜〜〜」って元気よく出てきた。



手にはぐるぐる包帯だ。



「あのね、ちゃんと指が曲がるようになったのよ。やっぱり手術って凄いわね」
と、まだ麻酔の効いた指を反対側の手で動かしている。
安静も必要だけど、リハビリも同じくらい大切なこと。
当日から無理のない範囲内で、少しずつ動かして行かないとね。



日帰り手術なので、消毒の日と抜糸の日を決めて、会計をしておしまい。
薬はね、この前の診療の日に先に貰ったからね。
会計を待っている間、母はあれこれと手術室で見聞きしたことを話していた。
部分麻酔って見えてるし・聞こえてるから微妙〜〜〜ヨネ^^;



「あのね、あのね。今日の手術ね、お医者さんと看護師さんが3人居たんだけど
そのうちの一人がネ、とっても若い子で、間もなく手術が終わるナ〜って時に
貧血起こしてバタン!って倒れちゃったのよ」
(・・・ナヌ?)



「それでネ、手術の器具もろともひっくり返っちゃったから
その音にビ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ックリしたワ」
(はは〜〜〜〜ん。居眠りしてた時に起こされた音はコレか・・・ぁ)



「思わず 『大丈夫ですか!?』 って聞いちゃったわよ。
そしたらベテランの看護師さんが『すみませんでした。後で休ませます』って
言ってたけど、新年度になったし、新しく手術室勤務として配属されてきた
若手のスタッフさんだったのかもね。
慣れるまでちょっときついかもしれないけれど、頑張って欲しいよね。
ま、はじめの1歩ってことで、よくあるハナシだわ」とのこと。



ふぅ〜〜〜〜ん。。。
なるほど。



母は外科病棟勤務25年以上の 「門前の小僧」だ。
なので、ある意味、机上の学問にかじりついて
データばかり見ているスタッフよりも、勘がモノを言う確率は高いのかも。



私は介護の分野しか資格を持っていないけれど
確かに利用者さんのケアをしている時に
床ずれのリアルな傷を見て、白目を剥いた同僚がいたっけなぁ〜と思い出した。



どんなことでも最初に踏み出さねば始まらないことってあるよね。
そして、越えられることだからこそ、自分に与えられる試練…ってきっとあると思う。
白目を剥いた同僚はすぐに介護の仕事にも慣れ
自転車で吹っ飛ばして巡回訪問に回り
利用者さんみんなから可愛がられるようになったっけ。。。



今回はひっくり返っちゃったけど、その看護師さんもきっと次は大丈夫!
将来、このことを思い出した時には、ひとつの笑い話だよ、きっと。
そして後に続く人たちにとっても専門職としての辛さを分かち合える
いい先輩になれると思う。



「ところでサ、待ってる間、あの椅子に座って何してたの?」と母が聞く。
・・・まさか 「居眠りしてた」とは言えないわネ。
オマケに 「倒れた子のひっくり返した器具の音で目が覚めた」とはネ。



外に出たら、病院の敷地内にある桜が満開になっていた。



「桜・・・綺麗だねぇ〜」と答えをはぐらかし、携帯で写真をパチリ。
もう一枚〜。



鳥が花を食べに来ているのか
ツンツンと突いては折角咲いた花を散らしている。



夕方の空も綺麗だった。
随分と沈んで行く夕陽が北西寄りになってきたな〜と思う。



昨日は全国的に 「晴れマーク」only という珍しい日だったんだよね。
今日も最高気温が結構上がり、一気に20度位になるらしい・・・。



頭上には、この頃定期的に通過していくヘリコプターが2機。



北に向かって飛び続ける機体を見上げながら
「頑張って!」と地上からエールを送って見送った。



さ、今日は朝一でまた病院だ。
母の術後の傷の消毒と、ガーゼ交換だって。