日常の必需品

高校3年の春休み、制服を着て教習所に通い始めた。
「学割」 が適用される間に、さっさと免許を取ろうと思ってね。



私の性格からすると、運転免許を取っても
実際に自分で車の運転をする…というより
公的に通用する身分証明書になればナ〜って思う程度だったのよね。



大学時代もOLをやっていた時も
学校や職場は都内だったから、車…というより電車だし
自宅も駅から徒歩圏だから、車の必要性なんて全く感じなかった。



それよりも、下手に自家用車を持とうものなら
何より駐車場探しが大変だし、管理出来るだけのお金もなかったしね。



なのに、なのに。。。
ある日、突然
「こりゃ、車じゃないとダメだ・・・」と思う現実を突きつけられ
四半世紀に渡ったペーパードライバー暦を急遽、返上することになった。



だ、だいじょうぶか、アタシ。



父がお世話になる施設が決まったのはいいけど
最寄り駅からバス便、もしくは歩き…という。



普段、ひょいと遊びにいくだけならいいのだが
着替えがないと言われれば、持って行かねばならないし
やれティシューだ、やれ飲み物だ〜〜〜と自分も元気ならいいけれど
術後の放射線治療をしながらだと、人力のみの運搬では体がきつくてね。



季節のいいときばかりでもないし、母も決して若くはないし
実家の駐車場には車はあるから買うことないし・・・と
アレコレ迷った挙句、財布の中で眠ってる免許証を本来業務に用いることにした。



驚いたのは自分より、周囲だったけど
頼める人がいなけりゃ、自分がやるしかないもんね。



感覚がつかめるまでは、目視最優先の慎重派で
周囲の光景を楽しむ余裕なんてまるでなかったし
何せウチの車にはナビが付いていないので
看板の見落としは一大事!だったのよ。



毎日毎日毎日毎日・・・・・・・・
ハンドルを握り続けていたら、車の運転に抵抗がなくなってきたワ。



とにかく安全第一! 私は無理はしないよ〜。
気がつけば、母も私がいる時は、自分は助手席にちょこんと座るようになったし。
今やもう、車はすっかり日常の足だ。

車の鍵と、一応メガネもね、私の必需品。



ウチは、ラジオやTVの交通情報で
「渋滞中」 とよく地名があがる幹線道路の側にあるので
いつもいつも車が多い。



バスもトラックも乗用車もバイクも自転車も人も・・・ごっちゃごちゃ。
オマケに消防署が近くにあるので、頻繁に救急車両が出入りしている。
何より一方通行の道が多いので、知らずに立ち入ったら抜けるのタイヘンよ。



先日、地方から遊びに来た友人を車に乗せて帰宅した折
車内で彼女がぽつりとつぶやいた。
「あのさ・・・こんなおっかない道、よく運転出来るね」



「ここ通らなきゃ、家に帰れないもん〜」って笑ったけど
実は25年ぶりにハンドル握ってるってコト、友人には内緒にしておこう!
これ以上、怖がらせたらかわいそうだからね。