衝動買い:憧れ

先日、自宅に遊びに来た夫の兄が
室内をぐるりと見回しながらこう言った。
「モノがない家だねぇ〜。一部屋を除けばサ」



あっはっは!
まさに言いえて妙〜な表現だ。



収集癖のある夫は、それこそ無造作にあらゆるものを部屋の中に積み上げ
その隙間に布団を敷いて寝ている・・・って感じだ。



彼には申し訳ないけれど、それって私のもっとも苦手なタイプ。
部屋の中はいつもすっきり片付いていないと、どこか気持ちが悪いし
探し物などに余計な手間や時間はかけたくないので
私はとにかく、必要以外のものは家の中には置きたくない。



年がら年中、「片付けろ〜!」 と夫に言い続けるのも飽きてきたよ。
ついには「あったら便利」はなくてもいい…!という言葉が飛び出し
日々の生活に必要なものって、そんなに多くないな〜ということに気付き
以来、引越しをするたびに、徹底的に不要な荷物を減らしてきた。
おかげで転居先に荷物が運び込まれても、数時間もあれば全部片付いてしまう。



冷蔵庫の中身さえ、さらりと水や保存食が入っている程度だし
食事は食べられる量だけ、その時々に材料を買って作った方がいいでしょ。
出来立ての方が美味しいからね。



考えてみれば、モノへの執着が弱くなったな〜と思う。
服も靴も鞄も使えなくなるまで使うようになったので
極端に安いものは買わなくなった。



身近な「おひとりさま」 の方々や
仕事上、関わっていた高齢者の方の最期を見ると
どうしても、自分の最期を考えてしまう。



早すぎる〜!なんて言うなかれ。
私にも病気のリスクがあるんだわサ。
兄弟も子供もいないから、第三者に必要以上の手間をかけさせては
申し訳ない…とも思うし
やっぱり、自分の意思と手で、使わないものはどんどん処分するに限る。



ただ。。。
そうは言いつつも、たったひとつだけ
全く使わなくても手放せないものが私にもあるのよね。



・・・ピンクのサテンのトウシューズ



まだ足首が固まらないくらい小さな時に
家の近くにあるバレエ教室に通っていた。
「大きくなったら、おねえさんたちみたいなピンクの靴が欲しい」
と思っていたけれど、先生が怪我で引退し、その夢はあっさり断念。



学生時代、もう一度踊りたい…って思って
友人と一緒にジャズダンスを始めたのだけど
ダンスシューズよりも、その横にあるトウシューズが気になってねぇ。



滅多に衝動買いなどしなかったけれど
バイトしたお金で十分変えることを知り
試着させてもらった途端、もう〜〜〜ウキウキ♪
「これ、下さい!」 って言ってたよ。



店頭にはサンプルしかなかったので
きちんと足の採寸をして取り寄せてもらうことになったのだけど
後日、ピッカピカのピンクのトウシューズが箱に入って届いたのを見たとき
そりゃ〜〜〜〜もう、かなり嬉しかったワ。



一生、履くことはないものだけどね。



衝動買いってこういうものかな〜って思ったけれど
贅沢や夢を買う…というのも、時には必要なのかもね。



考えてみれば、あれから20年。。。(あぁ・・・)
たまにそっと取り出して、サテンのリボンをほどき眺めているけど
この先、何度引越しをしても
荷物の片隅にこのトウシューズは入れていくんだろうな〜と思った。



それにしても。
足のサイズがもうちょっと小さかったら可愛いのに
私のトウシューズ、サイズが25センチ!なのよネ。うは〜〜〜〜〜。