心頭滅却…?


今日はメチャメチャ蒸し暑い一日だった。
夜になっても、サッパリ涼しくならない。
昼間も陽が出ていたわけでもないのに、気温がぐんぐん上昇し
最高気温は一体、どこまで上がったのやら…である。


どうやら厚く垂れこめている雲たちが
空中にたまった熱気をすっぽりと覆ってしまい、大地に蓋をしている様だ。
これではまるで、街ごと蒸し焼きにされている様なもの。。。
天の神様ぁ〜、どうにかならないものですかねぇ〜と
空を見上げてつぶやいてしまった。


こんな日は私のイライラ度が気温と共に上昇し
逆に怒りの沸点は、面白い様に反比例して下がってくる。


昼間、外出する用事があったので駅で電車を待っていたら
私の携帯が鳴り、夕方の予定が変更になった旨、メールが届いた。
あら大変〜!急いで夫に連絡しなきゃ〜と、慌てて彼の携帯を呼んだ。
が、出ない・・・。


何度かかけ直したが、途中でメッセージの録音機能に切替わってしまう。
おかしいな、と思ってメールを送ってみたが返信が来ない。
もしかして携帯を部屋に置いたまま、リビングにいるのかしらと思い
家の電話にかけてみた。…呼び出し音は鳴るが、やっぱり出ない。


時間は昼を過ぎたところである。
休日前夜は、撮りためた録画を明け方までTVで観ている夫であるが
いくらなんでも昼過ぎまで寝ているはずがない。
そしてこの日曜日はどこかに出かけるなんて言っていなかった。


しかも今日はこの暑さだ。まさか熱中症で倒れているのでは…などと
ありえそうなことを考えてしまい、そわぞわした思いが湧いてしまった。


間もなく電車が来てしまう。その前にもう一度…と携帯を呼びなおしてみた。
何度目かの呼び出し音の後、夫が「はい」と出たので、一気にホッとした。が、
「あ、もしもし、私…」と早口で言いかけたら、いきなり通話が切れた。


あれ????????????
すぐにリダイヤルしたが、直接コールセンターに繋がる音声案内が流れる。
メールも着信されず、一体どうなってるの〜〜〜〜〜?だ。


急いでいる時に急用を伝えねばならないというだけでも、イライラするのに
ホームの蒸し暑さも手伝って、私の不快指数は120%になった。


車内で通話は出来ないので、ならばメールに頼るしかない。
私(家族)からの連絡を認識しておきながら、切れたっ放しにしておくなんて
普通は考えられないだろうに…とも思った。
出先からかけてくる家族からの電話は、急用以外はありえないのだから。
仕方なしに用件を打って何度か携帯に送信し
電車を降りてすぐ携帯と家の電話をコール。
用件をそれぞれの留守録に吹き込んだ。


実は…夫は自分の好きなこと・興味のあることのためなら
本能のままに、ずぉぉぉぉぉぉぉぉ〜〜〜〜ん!と突き進んでしまう人である。
時としてそうした行動は、周囲の人をかなりビックリさせるものとなり
まさに文字通り「唖然…」とさせてしまう力を発揮する。


それが「傍若無人なふるまい」として、目に余るものを感じたのか
一度、夫の母から「息子の躾がなっていないのは、母親である自分の責任」と
泣きながら頭を下げられたことがある。


あの時はぶったまげた。
しかし、いくら母親に頭を下げられても
本人の自覚がなければ、何度でも同じ事を繰り返すものだ。
それに、アラフォーの男に今更「母親の躾」なんて関係なかろう。
成人したからには、社会人としてのマナーと常識をウチとソトの両方で
きちんと守っていれば、何も問題はないのだ。


結局、夫とまともに連絡が取れたのは夕方になってからだった。
用事を終えて帰路の電車に乗った時、ちょろり〜ん♪と短いメールが着た。
「映画館にいたので、電話繋がらなかったのかも〜」の文字の後に
猫がぺこぺこと頭を下げて謝っている絵文字がくっついていた。


続いて「駅に着いたよー」+ピースサインの絵文字まで付いている。


だ・か・ら、夕方の予定は変更になったんだってば!!!!!!!
夫ったら、あれだけ何通もメールを受信しておきながら、読んでないのかねと思った。
車内にいる間に、夫が携帯を呼んで来てサイレントモードが何度も作動した。
一気に私のイライラ度は急速上昇し、怒りの沸点は急速下降していった。
まるでジェットコースター並みのスリルである。


少し前から、夫の母も体調を崩して入院している。
本来なら先週退院する予定だったのだが、それも先延ばしとなった。
ウチの親同様、失礼だけれど、この暑さもあっていつ急変してもおかしくない年代だ。


私もあちこちからの「お呼び出し」の可能性がある以上、普段は携帯が手放せない。
なのに夫ときたら行き先も知らせずに、妻(鬼)の居ぬ間の…お楽しみだ。
一瞬、「親孝行、したい時には…」という言葉が浮かんだが
聞く耳を持っていなければ、彼はそのことも受け入れまい。


しばらくしてから、「ごめんなさい」と一言、神妙なメールが届いたが
どうしてこの言葉がいつも最初に出てこないのかね〜と思ってしまう。


勿論、人間は誰しもが不完全なものだし、人は人を裁くことなど出来ない。
しかし、時を持って、自分がしたことは全て自分に跳ね返ってくるのだ。


夫とて、わざとしているわけではないし(そう願いたい!)
日常においては仕事をし、収入を得て生活を支えてくれる。
しかも、「少ないけれど…」と言いながら毎月決まった金額を
「駐車場代です」と私の実家に入れてくれる、なかなか大したヤツなのだ。


だが、ちょっとした言動や価値観のズレが生み出すトラブルは
時として大きな誤解やわだかまりを招く。
今回もまた複雑な思いが心の中を渦巻いてしまい、何とも返信に困ってしまった。


そして私は「天の神様ぁ〜、どうにかならないものですかねぇ」と
ピンク色に染まった夕方の空を、再び仰いでしまったのである。