可愛いお客様

大学時代の友人というのも、いいもんだなぁ〜としみじみ思う。


何しろ、当時住んでいたお互いの自宅も駅で3つ程の距離にあり
いろいろ用事を作っては、ちょこちょこと行き来していた。
結婚後もさほど家が離れるでもなく
「今、何してるぅ?」と、気軽に連絡し合えることがひたすら嬉しい。


あと数年で30年もの付き合いとなるが(←凄いもんだね^^;)
やはり慣れ親しんだ友の声を聴くと、ホ〜〜ッとするし心強く思ったりもする。


彼女は学生時代から「肝っ玉母さん」ならぬ、「肝っ玉姉さん」の様な存在で
相〜当〜な早口で面白いことを喋りまくり、周りを爆笑の渦に陥れていた。
多少の悩みや困難が押し寄せてきても、大きな二重の目を思いっきり細めながら
「そんなもんアッチ行け〜! がはははは!」と笑い飛ばし
負のエネルギーなどボンボン周囲から追っ払ってしまう。


そして絶対に人前では、泣き言や誰かの悪口を言わない。
同い年ながら「大したものだなぁ〜〜〜」と、つくづく感心したものだ。


そして、誰が言うでもなく、彼女が結婚したら相当いいお母さんになるだろう…と
みんながそう思うようになり、実際、・・・そうなった。


いつの間にか上の男の子は小学校高学年になり、下の女の子も一年生になった。
二人ともママに良く似て、大きな二重の目をしている。
男の子は口元もきりっと引き締まっていて、なかなかのハンサムボーイだし
女の子は長い髪がふんわりカールしていて、お人形さんみたいに可愛らしい。


彼らの顔を見ながら「美形って得ね・・・」なんてシミジミ思ってしまうけれど
たとえ私が40を過ぎても、いまだ「おねえちゃん〜」って呼んでくれるのだから
嬉しさ99パーセント、残りの1パーセントは流石に心がチクチク…ダ^^;


さて、先日、そんな彼らがママと一緒に自宅に遊びに来てくれた。


イマドキの小学校って、私たちが学んだことのないようなカリキュラムで
授業が構成されているみたいで、子供たちの話を聞いていると
「へぇ〜」って思ってしまう。


授業の一環で「韓国」のことを調べて発表する、という課題が出されているらしく
テーマはそれぞれ興味のあることを選べばいいらしい。


そこで、韓国大好き!の私に、友人の息子がユニークなリクエストをしてきたのだ。


「あのね、インターネットで調べられることは、みんながやっちゃうでしょ。
国の面積や人口、特産物や観光名所は隣の席の子が調べてきちゃったし
ボク、そういうことよりも、普通のお家でどんなご飯食べてるのかな〜とか
そういうことを知りたいんだけど、どんなものがあるんだろう?
おねえちゃん、何か知ってたら教えて〜」と。


「おねえちゃん、教えて〜」って言われた日にゃ、何か出来ることをせねば…だ。


以前、仲良くしていた在日韓国人の友人が近所に住んでいた時
何度か「オンマの味(お袋の味)」を作って、ご馳走してくれたが
その時のことを思い出しながら、あれこれと材料を揃え「一緒に作ろうよ」と
友人とその息子+妹ちゃんに提案してみた。


まずは手始めにビビンパなんてどうだろう・・・。
初めて口にする「本場の」コチュジャン
爪楊枝の先端にちょこんと付けて「試食」してもらったが
「辛い〜!」「辛くない!」と兄妹でにぎやかに言い合う。


ナムルを4種類と甘辛く煮ておいたお肉、温泉卵とごまを用意し
「じゃ、やってみよう〜!」とビビンバをそれぞれ自分で作ってみることにした。


小さなどんぶりにご飯を盛り付けて、好みの具を好きなだけ載せる。
コチュジャンもちょっとずつ入れて、柄の長〜いスプーンとお箸で混ぜ混ぜ…。


ビビンパって、ハングルで「混ぜご飯」っていう意味なんだよ、って言ったら
すぐに鉛筆を握ってノートに書き留める。
(うわ・・・こりゃ間違ったこと、言えないな)


あとはワカメスープを作って、チャプチェ(春雨の炒め物)と、おでんも作った。
薄く切った魚のすり身を竹串にさし、汁で煮込んだものが韓国のおでん。


白菜のキムチとたまねぎのしょうゆ漬け、にんにくのキムチをお皿に盛って
さぁ、ランチの用意が出来上がったよ〜〜〜。


みんなで「いただきます」して、試食をした。
「これ、何?」「日本のキムチよりもちょっと酸っぱいし辛いね」
「おでんって、これ一種類だけなの?でも、美味しいね」・・・。


ビビンバに混ぜ込んだ小松菜も人参ももやしもぜんまいも
子供たちは嫌がらずに沢山食べた。


完食したので、ご褒美におやつも用意した。
「みんなでチヂミを焼きましょう〜!」と、ボールに粉を入れ・水を注ぎ
にらを刻んで、混ぜる係はお兄ちゃんと妹が交代だ。
結構子供って起用になんでもやるもんだ、と手元を見て思う。


ついでに洗い終わった器やスプーンなども、それぞれに布巾を持ってもらい
拭き作業もしてもらった。


そして油を敷いたアツアツのフライパンに、チヂミのタネを流し入れていく。
あまりにも子供たちが近くで眺めているので、油はねして目にでも入らぬか…と
おばさんはとっても心配になった。


ある程度焼けたら、生地をフライ返しで押し付けながら
薄〜く薄〜く表面がカリカリになるまで焼いていく。
途中でちょっとごま油を流しいれたら、ふわぁ〜っと台所中に
香ばしいにおいが広がって、ママまで「どれどれ?」と覗きに来た。


「ウワ〜、いいにおい!」と、ますますフライパンに顔を近づけてきたので
子供たちに焼くのも手伝ってもらう。
真剣な子供たちの目って、ホント、輝いてるな〜。


お兄ちゃんは普段から台所仕事もお手伝いしているらしく
かなり器用にチヂミをひっくり返していく。

友人の、子育ての上手さにも、改めてビックリした。


美味しい〜〜〜〜っ!って、あっという間に大きなチヂミを食べちゃったけど
もしかして。。。一番喜んでいたのは、ママだったりしてね。わはは!


後片付けも、子供たちがどんどんやってくれて
これはかなり助かるなーと思った。


「ね〜おねえちゃん、今度はおねえちゃんがボクの家に来なよ〜」って
帰り際に可愛いらしいことを言ってくれた。
・・・こんなに可愛い子供たちがいたら、友人も幸せだろうなぁ〜と思うけど
「寝ている時は天使に見えても、悪魔の尻尾だって持ってるんだよぉぉ」と
マジ顔で言う友人の姿を見て、なるほどな・・・と納得した。


今月の末には「発表」の順番が来るそうだけど、何だか私の方がいろいろと
子供たちから学ばせてもらって、ほんわか温かいやさしさを貰ってしまった。


可愛いお客さん、また来てくれないかなぁ。
今度は一緒に餃子とかクッキーとか、作ってみたいなぁ。
凄く楽しかったよぅ。


友人と、子供たちも加えて、交わりの範囲が広がっていくんだなぁ〜と思った。