ホッとする週末

「お義母さん、お疲れでしょう。
たまには僕たちと一緒に外食しませんか?」
と、夫が自ら母に声をかけた。



彼にとっても、週末は貴重な休日である。
毎日のラッシュ通勤と連日の残業続きで疲れているであろうに
それを返上して、金曜日の夜は私の実家に直帰し、泊まって、土曜日は墓参に出かけ
時間の許す限り私と私の母の手伝いを引き受けてくれるようになった。



彼の両親とて、今は週に数回、ヘルパーさんがやってきて
入浴などの身体介護や家事援助を受けている状況なのだから
本当は実の子供である息子たちの手を借りたいのだろうな、と思う。



しかし夫は 「実家の後継ぎは兄なのだから
僕が中途半端に手を出してはダメ」と割り切って必要な援助を見極め
たまにヘルプに帰郷することはあっても、それ以上のことはしない。



長兄・次兄、そして自分という
それぞれの立場を十分に考えているらしい。



タイシタモンダ、と思う。



最近、夫は母とよく話をするようになった。
母もあれこれと、夫に相談をするようになった。



そんな光景を眺めていると、ぴりぴりと張り詰めていた神経が
ゆるゆるとほどけていくのがわかる。
もう、あれこれと頑張らなくていいんだな・・・と思う。



休日の昼間、久しぶりに3人で外食に出かけた。
大宮ルミネの1階にある、「魚力」直営のお寿司屋さんに入ってみた。
ここのお店、美味しい!っていうウワサをあちこちで聞いているのだけど
近くに住んでいる割には、今までとんとご縁がなかった。



夫は、本日のおすすめ10貫セット、1500円也〜。



その日の入荷状況によって、内容は変わるらしいが
これにお椀が付くので、ちょっとしたお得感がある。



母はちらしの丼ぶり。
ネタのひとつひとつが大きくて、しかも結構な厚さがあった。



見た目を裏切って、そこそこ量があったらしく
母は「全部食べきれないよぅ〜」なんて言ってたけど
やはり、美味しいものは完食出来るらしい。
こちらは980円也〜。



・・・私は空腹に耐えかねて、写真を撮るのも忘れてさっさと食べちゃったので
データはなし!
スタンダードなランチは10貫で890円〜。
卵と生姜のアレルギーがあるので、玉子のにぎりとガリは夫にパス。
イカは母の好物なので、母にパス!



とっても美味しかったわ〜〜〜〜〜。



食事中、母が唐突に、「靴が壊れた」と言う。
見てみれば先端部分がはがれてしまい、つま先の一部が 「オハヨ〜」の危機。



夫がすかさず、フォローを入れる。
「お義母さんにも、バレンタインのお返しをしたいのだけど
どうせなら、お義母さんが欲しいものをプレゼントしたいので
靴を買いに行きましょう」



母、大喜びだ。



母の年代の女性たちが気軽に入れるお店が駅の東口方面にあるので
食後はそこまでテクテク歩き、一足1890円均一の靴が並ぶ店に入った。



どれを選んでも、1890円。
あれこれと物色し、「これにする!」と決めた一足。



夫は母に千円札を2枚渡し、母はレジでお釣りを110円貰う。
「ありがとね〜。お釣り110円、返すよ〜」と
母が嬉しそうに言い、夫は「それもあげますよ」と笑って答えた。



どんな時でも、母が笑うと嬉しい。
そして夫が笑うと嬉しい。



それぞれに大きな痛みを受けたけれど
同時にちゃんと身近には十分な慰めも用意されているんだね。



人は、人を通してしか癒されないこともあるんだなぁ〜と思うし
同時に、本物のやさしさって、本物の痛みを体験し十分な慰めを受けてこそ
内面に培われていくものなんだなぁ〜とも思う。



先のことなんて、誰も誰にもわからないものだけど
母と夫と私とで食卓を囲み、日常の中で他愛もない話をするひと時が
この先の貴重なひと時になっていきそうだ。



夕食の後片付けを終えて、お茶を飲みながらカレンダーを眺め
あ〜〜〜今週もまた忙しいナ、と考える。
明日は貧血治療に通っているクリニックへの通院日
週末の金曜日は乳がんの術後検診で
総合病院での血液検査とエコーの検査がある。



きっとどちらも大丈夫だと思うけど、身体のメンテナンスも大切だもんね。
医療費がかさんで夫にはホントに申し訳ない…と思うけれど
やっぱり、家族の支えは大きいな〜としみじみ思った一日だった。