贈り物、ふたつ

昨日18日は、午後遅く〜夜にかけての計画停電だった。
前日に引き続き、非情な音を立てていきなり 「ばちん!」と家中の電気が消えた。



昼間の停電なら、それなりにやることも多いので
あっという間に3時間が過ぎてしまうが
暗くなってから電気が消えると、ホントに心細くなるもんだネ・・・。



限られた時間だけれど、廊下にある非常灯が
ちゃんと点いているのを見てホッとした。
でも、これは有事の時に点灯するもの…と聞かされていたので
何とも複雑な気分になった。



さて。
今の時期、それぞれに誰もが大変な思いをしていると思う。



移動の足である鉄道が運休してしまい、仕事に行くことも出来ない。
仕事に行っても停電の間は仕事にならず、さりとて一旦帰宅する時間もなく
夫など、その間に停電していないエリアまで移動して
千円散髪店を見つけ、頭を丸刈りにしてきた。



店舗などは一旦、シャッターを降している様で
それまでにお客様を店外へ出さねばならないのだから
スタッフが使う神経もかなりのものだと思う。



家事をするにも使用する物が電化製品ばかりなので
掃除・洗濯・料理をこなす順番にも頭を使い、エアコンの使用は厳禁・ご法度!だ。



そして、この3連休。
父が亡くなって初めての彼岸…ということで、弔問客の来宅があるらしい。



「食事は結構ですよ」と言われても、出来る範囲内でのおもてなしはしたい。
せめて漬け物と煮物だけでも〜と、足りない食材を買いにスーパーに行ったら
殺気立った買い物客が変な空気を醸し出していて、その雰囲気に面喰ってしまった。



何しろ、レジが長蛇の列!!!!!
なんだ、ナンダ、何なんだ????? と思ってそれぞれの手元を見て見れば
TVで報道していた通り、トイレットペーパーやティシュ、米に水にカップ麺などを
カゴに入れて精算の順番を待っていたのだ。



買い溜め・買占めはするな!と政府も言っているではないか・・・。
それよりも、被災地に食料は届いたのか?と、その光景を見て一瞬、腹が立った。
節電のため、勿論店内のBGMはナシ!



そんな中、突然、店内アナウンスが入った。
「当店では、販売制限をさせていただいている商品があります。
おひとり様ひとつ限りのものは、きちんとレジ精算の時に確認させていただきます。
ふたつ以上お持ちいただいても、販売することは出来ません…」



・・・凄いもんだね。
それにしても、普通に日常の食材を買いに行っただけなのに
なんでこんなに疲れるんだろう。



帰宅して、ふ〜っとため息をつきながら外を眺めてみた。



そこには、大地震の起こる前と同じ光景があった。
遠くには富士山だって、ちゃんと見えている。



ただ。
前はあんなに頻繁にバルコニーに来ていた鳥たちが、今は全く来なくなった。
カラスらしき鳥はどこかで鳴いているみたいなのに、どうしたんだろう。



東向きの窓からは、新幹線が高架を走行して行くのが見えた!
長野・上越新幹線と、東北新幹線那須塩原までは運行しているんだよね。



震災から数日間は、新幹線も運休になり
何も通らない高架がひどく無機質に見えたっけ。



♪ぴんぽ〜ん とインターフォンが鳴ったのでリビングのパネルを見てみたら
「宅配」のランプが点滅している。
何か、届いたな・・・と1階の宅配ボックスまで荷物を取りに行った。



あらま、手作りのわらじ型スリッパが・・・。



父の古い友人が、不要になった古布を集め、手で1足ずつ編んでいる様だ。
製作者は、今年88歳になる男性だ。
せっせと作ってはアチコチにプレゼントしているらしい。
凄いね〜〜〜〜〜!



以前、手芸番組でやっていたけれど、履きながら掃除も出来るし
元が布なだけに吸水性にも優れ、雑巾代わりの役目もこなすらしい。
汚れたら、洗濯機で丸洗いできる。



「届きましたよ、ありがとう!」と電話で母が連絡したら
「大切な友人を亡くしても、葬式にも行かれなかったこと、申し訳ない。
自分も今、認知症の妻を介護しているので、ひとり家に残しては外出も出来ない。
自分に出来ることはこのくらいだけど、また汚れたら新しいものを作って送るから
遠慮なくその時は連絡して欲しい。体にはくれぐれも気をつけて」と
心あたたまるメッセージを伝えてくれたそうな。



早速、履いてみた。



母も。



フローリングが大半を占める家なので、物凄く助かるモノが届いた!
嬉しいね^^



そして程なく、今度は室内のインターフォンが鳴った。
誰かしら・・・、と玄関を開けたらお花屋さんが立っていて
大きな花束をふたつも抱えている。



うわ〜〜〜〜〜。
花も凄いけど、到着があと5分遅かったら、停電だったわよ〜。
そしたらエレベーターが使えないので、階段だったわよ〜。



差出人は、母の古い友人だった。



「届きました、ありがとう!」とこちらもすぐに母がお礼の電話を入れる。
「お彼岸だからお父さんの写真の前に飾って欲しいと思ってサ。
何がいいかわかんないけど、華やかなお花の方がお父さんも家族のみんなも
喜ぶんじゃないかと思ってね。飾ってね〜」と
これまたこころに沁みるあったかい心遣いをいただいた。



それぞれが、大変な日常の中にある。
ある程度年齢が上がれば、普通は自分のことだけで精一杯!
あとは夫や妻任せ〜、息子や娘に甘えて、ちょっとワガママ言って
全くモ〜!と言われて許される立場であろう。



income のことを思えば、ちょっと胸も痛むが
「たまにはお金も使わせてよ」と半分笑いながら、そして半分は真剣に言う
母の友人の話を聞いて、しみじみとありがたい!と思った。


夜が明けたら、母と夫と3人で、まずは墓参に行ってこよう!



今宵も父は沢山の花たちに囲まれ、嬉しそうに笑っている。



部屋の片隅では、空気清浄機がフル回転しながら唸っている。
その音を聴きながら、私もそろそろ寝ることにしよう。
3連休の初日は、晴れだって。